建築家・隈研吾さんが設計した建物といえば、モダンなデザインと木材(自然素材)の融合が魅力的ですよね。
そんな隈研吾さんの建物に、大きなデメリットが囁かれています。それは木材の腐食とカビによる劣化の早さです。
この記事では、隈研吾さん設計の建物の劣化についてビフォーアフター画像をまとめてご紹介します。
「7年で劣化!」隈研吾設計の市役所の腐食が話題に
世界で活躍する建築家、隈研吾さんが設計した群馬県富岡市役所の劣化が話題になっています。
市役所は総工費40億円をかけて2018年に完成しました。しかし、完成からわずか7年後の2025年には、外装の木材の腐食や、軒裏の金具にサビが多数確認されています。
今後、市役所は修繕工事を行う予定とのことで、費用は隈研吾建築都市設計事務所と施工業者が負担するもようです。
修繕工事によってカビやサビ問題が解決すれば良いのですが、現実はそう上手くはいかないかもしれません。
というのも、隈研吾さん(隈研吾さんの設計事務所)が手掛けた建築物は、早いもので10年満たないうちに腐食するケースが多々あるからです。
別名「腐る建築」!隈研吾設計の腐食建築 ビフォーアフター画像一覧
外装に印象的に木材を使用する隈研吾さんの建築は、腐食やカビがたびたび問題視されており、別名「腐る建築」と呼ばれるほどです。
以下は、隈研吾さん(と隈研吾さんの設計事務所)が手掛けた建築作品のビフォーアフターです。
奥琵琶湖レイクシア
隈研吾氏作、奥琵琶湖の貸別荘。
— 建築エコノミスト森山高至「土建国防論」執筆中 (@mori_arch_econo) January 9, 2025
外壁の劣化速度が日本の建築界最速との情報をもらいました。
3年で激劣化。
これ、木は木だけど、その素材はなんやねん?
外壁にそのまま使ってもいい素材ですか?#腐る建築 pic.twitter.com/evreAKr532
奥琵琶湖レイクシアのオートキャンプエリアには、隈研吾さんがデザインを手掛けたモバイルハウス住箱が設営されています。
上の写真は完成直後と3年後の写真です。
3年後は壁面の木材がところどころ反り返っているのが確認できます。
田園調布せせらぎ館
久しぶりに多摩川駅まで来たので、せせらぎ公園みてきた。
— Tatsuo Miyagawa (@tatsuomiyagawa) January 23, 2025
4年半経つとこういう感じ。すごいね、きたないね。#腐る建築 pic.twitter.com/oOOpOT4jS1
2021年1月にオープンしたせせらぎ館。
上の写真はオープン当時と、約4年半後の比較画像です。
アフターの方は木材がカビで変色しており、遠目に見ると時代劇に出てくる長屋のような雰囲気が漂っています。
グリーナブルヒルゼンのモニュメント
←理想の隈研吾モニュメント
— せばすちゃん (@avi_sanva) January 5, 2025
→現実の隈研吾モニュメント
観光客のおばちゃん「実物ボロボロで写真詐欺やなー」
外側の板は3年もたなかったんだ…
観光局の写真が更新されないのが悪い😇 pic.twitter.com/wHyDvVDZ67
こちらのグリーナブルヒルゼンのモニュメントは、東京・晴海で一度利用された木材を使用した、サスティナブルな建築物です。
サスティナブルとはいえ、約3年で腐食や劣化による変色が目立ち、建築当初とは別物のような印象になってしまいました。
銀山温泉 藤屋
隈研吾建築で有名な銀山温泉の藤屋も今は腐ってるからな…
— らいどろ (@licky_mochi) September 4, 2024
あの割り箸建築、新築の時は見栄えするけど… https://t.co/UzKtabrhvE pic.twitter.com/2Cl2woTgCI
山形県銀山温泉「藤屋」は2006年に隈研吾さんがリニューアルを手掛けました。
画像←が完成直後、右が最近の様子です。
右側の画像は、木材が黒ずんで全く別の建物のようです。1階部分の格子と屋根は修復されており、2、3階部分と比べると木材の色が明るいのが分かりますが、修復後の木材も再び腐食が始まっています。
アオーレ長岡

隈研吾建築のアオーレ長岡だけど、
— みさわひろと|長岡市議|現役世代を応援|はたらくみんなのために|地域に寄り添う政治 (@jgsdfhts57) February 25, 2025
剥き出しの部分は腐敗が強いよね。 pic.twitter.com/XKJhmeoMiS
新潟県長岡市の市役所が入った市民交流複合施設「アオーレ長岡」は2012年に完成しました(上画像:完成当時)。
華やかで目を引くデザインですが、2024年には風雨にさらされた木材部分には、黒いカビや緑色の苔のようなものが確認できます。
また、大屋根にもサビがみられ、現在修繕が検討されているそうです。
馬頭広重美術館
栃木県の那珂川町にある「馬頭広重美術館」は2005年に完成しました。
19年後の2024年には、館内の雨漏りや、羽目板が崩れるなど老朽化が進んだことから全面改修が決まりましたが、3億円もの費用がかかるため、町が負担するのは難しく、ふるさと納税やクラウドファンディングを利用して資金を募っていました。
久杉橋
近所の橋も例の隈研吾のだけど、無垢な杉材パネルだから、そりゃ傷みが速いよな。
— TOK (@TOK_HOTSTAFF) October 12, 2024
この物件は特に水場だからか だいぶカビてた。所々は綺麗なので、痛みのヒドい材から少しずつ交換してるんでしょうね。維持管理費が相当かかるけど、旭酒造が寄付してるのかなぁ。 pic.twitter.com/Ci0Kiyy9UG
2018年の西日本豪雨で壊れてしまった岩国市周東町の久杉橋ですが、2022年に隈研吾さんのデザインで再建されました。
久杉橋再建に費やされた総事業費は3億7千万円。そのうちデザイン料2億円は「獺祭」で有名な地元の旭酒造が負担しました。
完成から3年足らずですが、川辺ということから木材の劣化が早いようで、腐食が目立つパーツを都度都度交換している様子が見受けられます。
問題は隈研吾ではなく発注者にあり?
腐食や劣化がたびたび問題視される隈研吾さんの建築ですが、隈研吾さんだけが問題の原因なのでしょうか?
雨ざらしの木材装飾の劣化が早いことは当然と言えば当然です。
その分かりきったデメリットを考慮せず(もしくは見て見ぬふりをして)、話題性やブランド力を優先して発注する側にも問題はあるのではないでしょうか?
とりわけ、公共の箱物の場合は、メンテナンス費用は自治体が負担する形となります。つまり市民の税金が修繕費として充てがわれるわけですから、発注側=自治体はもっと慎重に検討すべきかもしれませんね。
ちなみに、兵庫県の新県庁舎や、さいたま市の新市役所は隈研吾さんのデザイン案を却下しています。
まとめ:隈研吾の建築はおしゃれだが劣化が早い!
隈研吾さんの建築物は近代的な中にも温かみのあるおしゃれなデザインが多くの人の心を掴んでいます。
しかし、外装に耐久性の低い木材を多用しているため、カビや腐食による劣化が早いのも特徴です。
そのため、メンテナンス費に税金が費やされる公共の建物に隈研吾さんの建築物を採用するのはリスキーであると考えられます。
これまでにもたびたび劣化が問題視されている隈研吾さんの建築ですが、オファーする自治体側ももう少し慎重になるべきだと言えるでしょう。