テレビ局やタレントの不祥事、自然災害などが起こった際に、テレビ番組のCMが企業CMからACジャパンのCMに差し替わることがあります。
一般市民が知っているようで知らないACジャパン。
この記事では、ACジャパンについての解説をしています。「どんな会社?」「CMが差し替わる仕組みは?」といった世間の疑問にも回答していますので、ご参考ください。
CM差し替えで話題になるACジャパンとは?
大きな自然災害や、テレビ局やタレントの不祥事などの問題が起きると、民法テレビ局の企業CMがACジャパンのCMに差し替わることがあります。
印象深いのが、2011年の東日本大震災ではないでしょうか。震災発生直後からACジャパンのCMが急増し、「ぽぽぽぽ~ん」や「こだまでしょうか(金子みすゞさんの詩)」などのフレーズが多くの人の記憶に残りました。
最近では、故ジャニー喜多川氏の性加害問題を受けて、ジャニーズ事務所(当時)の所属タレントを起用したCMがACジャパンのCMに差し替えられたことが記憶に新しいのではないでしょうか。
また、直近では中居正広さんの女性トラブルにフジテレビ社員の関与が疑われる問題で、フジテレビの番組のCMが次々とACジャパンのCMに差し替えられています。
では、ACジャパンとは一体どのような団体なのでしょうか
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ACジャパンは会社ではなく公益社団法人
ACジャパンは会社ではなく、公益社団法人です。会社は営利団体ですが、社団法人は非営利を目的としています。
ACジャパンは広告を通じて、社会が必要としているメッセージの発信や、啓蒙活動を行っています。
取り扱うテーマは、公共マナーや環境問題といった普遍的なものから、多様性や災害、ネットモラルなど時代に応じたものまでさまざまです。
ACジャパンは1971年に 任意団体「関西公共広告機構」として設立。その後、1974年に社団法人化し、「公共広告機構」と改名。
2011年4月に公益法人となり現在に至ります。
ACジャパンの活動資金は?
ACジャパンの活動資金は、会員の企業や団体、一般市民の会費で賄われています。
民間のボランティア団体であり、政府や公的機関からの助成や税金の投入などは一切ありません。
なぜ企業CMが差し替えられるのか?
自然災害やスキャンダルなど有事の場合に、なぜ企業CMがACジャパンのものに差し替えられるのでしょうか?
それは、番組のスポンサー企業の「営利目的」のCMが流れると、世間から「こんな大変な時に不謹慎だ」「この企業はスキャンダルタレントを擁護するのか」などの批判を受ける恐れがあり、スポンサー企業が広告出稿を自粛するためです。
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ACジャパンのCMが差し替えられる仕組みを解説
企業CMからACジャパンのCMに差し替えられる仕組みは以下のとおりです。
- ACジャパンがCMをあらかじめ各放送局に納めておく
- スポンサー企業がCM出稿を自粛
- 放送局の判断で、企業が自粛したCM枠にACジャパンのCMを放送する
ちなみにACジャパンのCMに対しては放映料はかかりません。
CMが差し替えられても放送局にデメリットなし?!企業は広告料を払いつづける
CMがACジャパンのものに差し替えられると、放送局の広告収入が減少すると思われがちですが、実際は違います。
CMを差し替えても、自社CMの出稿を自粛したスポンサー企業は放送局に広告料(スポンサー料)を支払うのが原則です。
これは、あくまでスポンサー側が出稿を自粛(自己都合で取りやめ)しているのであり、スポンサー契約を破棄できないというわけです。
現在(2025年1月20日執筆)、フジテレビの各番組のCMはつぎつぎとACジャパンのものに差し替えられていますが、各スポンサー企業は広告費をフジテレビに支払い続けています。
それならばフジテレビにデメリットはないのか、といえばそうではありません。
もし今後も問題が長引けば、新たなスポンサー契約を提携することが難しくなり、フジテレビは段々と広告収入が減ってしまう可能性があります。
まとめ:ACジャパンは非営利団体!無料で広告を差し替えられる
ACジャパンは社会問題をテーマにした公共広告を制作する公益社団法人です。
活動資金は企業や団体、一般個人の会費で賄われています。
事件や災害などが起きたときのために、放送局にはあらかじめACジャパンの広告が納品されており、スポンサー企業が広告出稿を自粛した際には速やかにCMを差し替えられる仕組みとなっています。
ACジャパンの放映料は無料です。一方で出稿をスポンサー企業が広告出稿を自粛しても放送局に支払う広告費は発生します。そのためCMが差し替えられても放送局に直接的な金銭ダメージはありません。しかし、スキャンダルやトラブルが原因のCM自粛の場合は、問題が長期化すると、放送局はスポンサーを失う恐れがあるので、ACジャパンへのCM差し替えは、放送局にとって警戒すべき事態といえます。