八村塁さんとバスケットボール男子日本代表のホーバス監督の不仲が話題となっています。
この記事では、八村塁さんの批判発言と、ホーバス監督と不仲になるきっかけとなった、とある発言について詳しく解説します。
八村塁がJBAとホーバス監督を批判!代表招集も拒否
【バスケ】ホーバス体制批判の八村塁が日本代表と決別宣言「選手第一の精神が見られない」 #バスケットボール #八村塁 #トム・ホーバス https://t.co/r2y21NLt7u
— 日刊スポーツ (@nikkansports) November 24, 2024
2024年11月に入り、日本男子バスケットボール界のエース・八村塁選手(NBAレイカーズ)が日本バスケットボール協会(JBA)と日本代表トム・ホーバス監督に対する批判発言を繰り返しています。
発端は11月13日。対グリズリーズ戦後のインタビューで、日本代表の現状について問われると、八村選手は、「あまり言いたいことではない」と前置きしつつ、以下のように発言しました。
「日本代表としてやってる中で、チームもそうですし、僕もNBAでやってる中で、強化というか子供たちのためとか、そういう日本のバスケを強くしていくために、こうやってきている感じは僕はあったんですけど、やっぱり日本代表の中でその目的じゃなく、やっぱりその、少し僕が思うに、お金の目的があるような気がするので。そういうところではやっぱりもうちょっと…」
https://www.tokyo-sports.co.jp/articles/-/323789
また、ホーバス監督の続投についても言及。
「あとコーチ(監督の意)のことについても話したんですけど、やっぱりそういうコーチ陣としても、日本代表にふさわしいコーチ。僕らは日本代表の男子のトップのプレーヤーたちなので。そういう男子のことを分かっている、アスリートとしてプロとしてやってた、プロとしてもコーチをやったことのある、そういう人がやっぱりコーチになってほしかったので。今回こうやって、そういうふうになってしまったのは、僕としても残念だと思ってますし、そういうのを日本代表にも話しての結果の、そういう、彼らが決めたことなので。僕としてはそういう姿勢でやってるんだなと思うので」
https://www.tokyo-sports.co.jp/articles/-/323789
八村選手のストレートな協会と監督への批判発言は、日本代表への招集を拒否しているとも受け取れます。
「まあでもその中で、やっぱりこうやって日本代表を、子供たちもやっぱりこうやって見てるので。そういうところで僕もNBAで頑張って、そういう日本のバスケが強くなるように頑張っていきたいなと思います」
https://www.tokyo-sports.co.jp/articles/-/323789
最後にはこのように発言を締めており、日本のバスケのために頑張っていきたいという意気込みも感じられますが、一方で胸の奥に複雑な感情を抱えていることが伝わります。
批判が止まらない八村塁
八村塁選手の批判は止まりません。
11月23日には、前回のインタビューを補足する形で批判を続けました。
以下は八村塁選手の発言の要約です。
- 今の日本代表の方針ではプレーしたくない
- ホーバス監督はパリ五輪までと聞いていたし、自分もそのつもりだった
- 日本代表として小さい頃から大きな役割を任されてきたが、大きい役職(監督)を決める際に何のコミュニケーションもなかった。にも関わらず、監督続投を決める前に選手一人ひとりに話したと協会は公に嘘をついている
- ホーバス監督は練習の中身もミーティングのやり方も、フィルム(スカウティング)のやり方も世界レベルではない
- 同じ人たちがずっと上でやっているJBAの組織が変わらないと、自分(の代表でプレーしたくないという気持ち)も変わらない
- 世界に行ったことない協会の上の人たちが「これが世界のコーチだ、これが世界の誰だ」と言っているのもおかしい
- 協会にはプレイヤーファーストの精神が感じられず、自分たちの利益になることを先にやっていて、そのお金が何に使われているのか分からない
- 日本代表としてプレーしたいし、ロスオリンピックも出たいが、どうなるかわからない
渡邊雄太が八村塁とホーバス監督の不仲を認める
日本代表の渡邊雄太選手(千葉ジェッツふなばし)は、八村塁選手とトム・ホーバス監督の関係がうまくいっていないことを認めました。
渡邊選手によると、八村塁選手とホーバス監督の不仲は、ホーバス監督の発言が切り取られ、八村塁選手が誤解したことから始まったようです。
では、八村塁選手を怒らせたホーバス監督の発言とはどんなものだったのでしょうか?
八村塁とホーバス監督の不仲の原因は2023W杯後の発言だった
八村塁選手とホーバス監督の不仲のきっかけとなったのが、2023年ワールドカップ後のホーバス監督の会見でした。
八村塁選手はNBAの新シーズンへの準備のため、この大会に不参加でしたが、日本代表は翌年のパリオリンピックの出場権を見事勝ち取り、日本中を大いに沸かせました。
そんな2023年9月に行われたワールドカップを振り返る会見で、八村塁選手の代表不在と、パリ五輪へ向けて八村選手とどのようにコミュニケーションを取るのかと問われたホーバス監督は以下のように発言しました。
「彼がやりたいんだったら、彼から声かけていいと思います。私たちはスタイルは変わらないです。だから彼が来るんだったら、私たちのバスケをやります。やりさせます(やらせます)。当たり前。彼は入ってほしいけれど、彼がやらないんだったらこのメンバーでいいチームを作りましょう。自信あります」
https://number.bunshun.jp/articles/-/863732?page=2
このコメント、八村選手を必要としているとも感じられますが、一方で、彼がいなくても大丈夫!というふうにも読み取れます。
ホーバス監督のこの発言を、各メディアは”ホーバス監督が八村塁選手を突き放した”というニュアンスで報じました。
たとえば、ライブドアニュースの記事紹介のSNSポストの見出しは以下のとおりです。
【日の丸の覚悟】ホーバス監督、八村塁に“自分から来い!” スターに頼らないチーム力に自信
八村について「やらないならこのメンバーでいいチームをつくる。自信はあります」と言い切り、「やりたいんだったら、彼から声をかけたらいい」とあえて突き放した言い方をした。
https://x.com/livedoornews/status/1698465681363071142
「自分から来い!」「スターに頼らない」など、もとの発言にはない強い表現が用いられていますね。
こういった報道を目にしたのだとしたら、八村選手も喧嘩を売られたような気分になったのではないでしょうか?
ホーバス監督はこの件に関し、メディアの報じ方や自身の日本語表現が自分の意図とは異なっていたとして、英語で訂正コメントを発信しました。
そこには「八村選手はいつでも日本代表でプレーする権利を持っている」ということや「八村選手がワールドカップ期間中に日本代表のチームメイトをとてもサポートしてくれた」こと、そして「八村選手のパリオリンピック参加について今後も話を続けていく」といったことが言及されていました。
しかし、その後もホーバス監督と八村選手がこの件に関して直接話し合う機会が無かったため、二人の関係性は修復されないまま、今に至るようです。
最も不満なのは協会の選手を蔑ろにする姿勢
八村塁選手が最も不満を抱いているのは、ホーバス監督ではなく、JBAではないでしょうか。
八村塁選手の発言をよく見てみると、ホーバス監督に対する批判よりも協会に対する批判が多いのが分かります。
選手の意見をしっかり聞かずにホーバス監督の続投を決定したり、「日本のために」という選手たちの純粋な思いを利用して、商業主義に走る協会の体制に振り回されているのが辛いのでしょう。
とくにNBAで活躍する八村塁選手は、日本代表の”宣伝塔”の役割も担っているため、協会からのプレッシャーをひときわ感じてきたのではないかと思われます。
まとめ:八村塁とホーバス監督の不仲理由は”突き放し”発言!不満の原因は協会か
八村塁選手とホーバス監督の不仲は、2023年W杯後のホーバス監督の「彼がやりたいんだったら、彼から声かけていいと思います。」などの”突き放し”とも受け取れる発言がきっかけでした。
しかし、八村選手が批判発言を繰り返している一番の原因は、ホーバス監督ではなく、日本バスケットボール協会(JBA)にあると思われます。ホーバス監督の続投の決め方や、選手への敬意を欠く商業主義に偏ったやり方に対し、八村選手は不満を持っているようです。