リニア中央新幹線の開業延期に大きな影響を与えたり、県庁職員に対し「知性の高い方たち」と職業差別とも捉えられかねない発言をしたりと、いま話題の川勝平太静岡県知事が2024年6月の議会をもって職を辞すことを表明しました。
世間ではすっかり「お騒がせイメージ」がついてしまった川勝知事に対して、静岡県外の国民のなかには、「静岡県民はなぜ川勝知事を支持するのか?」と疑問を持つ人も少なくありません。
この記事では、川勝静岡県知事を支持する人の理由を紹介します。
リニア着工反対・”職業差別”発言 トラブルの多い川勝静岡県知事
2027年開業予定だったリニア中央新幹線の地下トンネル工事に反対しつづけ(リニア事業自体には賛成)、JR東日本に2027年の開業を断念させた静岡県の川勝平太知事。
すっかり話題の人となりましたが、今度は静岡県庁で行われた新採用職員への訓示で「県庁はシンクタンク。毎日毎日、野菜を売ったり、牛の世話をしたり、モノを作ったりとかと違い、基本的に皆さんは頭脳、知性の高い方。それを磨く必要がある」と職業差別ともとれる発言をしたことが報じられました。
川勝知事は、以前にも御殿場市について「コシヒカリしかない」と揶揄する発言をしたり、菅義偉前総理が総理時代に、日本学術会議の候補者を任命拒否した際に「(菅総理の)教養レベルが露見した」と学歴差別と捉えられる発言をしたりとトラブルの多い県知事です。
速報!川勝知事が職業差別発言により辞職表明
2024年4月2日、前述の職業差別発言により世間を大きく騒がせた責任を取り、川勝静岡県知事は辞職することを表明しました。
川勝知事は2024年6月の議会をもって職を辞すとのことです。
トラブルが多かっただけに、「ようやくか」と感じる人もいる一方、静岡県民のなかには川勝知事を支持する人も少なくありません。
現在任期4期目で選挙に強い川勝静岡県知事
川勝県知事は在任4期目。
川勝知事の選挙の勝率は4戦4勝。出馬した知事選はすべて当選しています。初戦は辛勝ではありましたが、2戦目以降は得票率約60~70%※と大差の勝利をあげました。
※投票数のなかの得票率なので、県民支持率とは異なります。
川勝知事の支持者はなぜ彼を支持するのか?
これまで失言トラブルがあってもリコールされるどころか、選挙に勝ち続けてきた川勝知事。
静岡県民はどのような理由で、知事を支持しているのでしょうか?
川勝知事支持者の意見は次のとおりです。
「正直みんな川勝知事叩いてるけど俺からしたらリニアとか言う大井川枯渇、静岡止まらん、費用掛かりすぎる とか言うメリット0,1%しかないのに通そうとする鉄道及び国を抑えてるのマジで偉いと思う(焼津住みより)」
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「川勝知事すんごいリニアの関係で叩かれるけどさ大井川の水の件で反対してくれてるから県民からしたら良く守ってくれているなぁって感じるんだよなぁ。 確かに発言とかいけないところもあるけど… マスコミの報道が本当なのか色んな情報が出回る時代だからこそ正しい情報を得る必要があるよね。」
「リニアが通らないのは残念であって、川勝知事恥じることが多いのも事実ではあるんだけど、大井川の水量が減るの大井川周辺の産業の根幹の被害が大きい為、大井川の水を減らされると静岡側としてそれを受け入れるだけのメリットをJRや国が提示すらしない、文句ばっかり言う人も恥だと思うよ。」
「よし。リニア開通後の静岡への新幹線停車数激増は川勝知事の功績。氏がとことん粘ったから国が静岡県民を直接釣る餌を出さざるを得なくなった。大井川の水のために私もリニア絶対反対だが、国には勝てないのはわかっていた。川勝氏が徹底的に抵抗してくれたおかげで、敗北なのに戦利品を得た。」
SNSで調べたところ、現在、勝知事が支持される理由のほとんどがリニア関連のものでした。
人々の意見を要約すると以下2つの意見が多いようです。
- 川勝知事がリニア工事に反対することで大井川水域の環境被害と、周辺地域の産業・経済への打撃が免れている
- 川勝知事が反対したおかげで、静岡への新幹線(ひかり、こだま)停車数が増えることが決まった
もともとリニア開通によってもたらされる直接的メリットが少ないと考えられている静岡県※では、リニア反対派が少なくありませんが、賛成派もいます。
しかしながら賛成派の一部には、川勝知事が反対したあとに大井川の水問題の打開策を示したJR東海の姿勢に不信感を持つ人もいるようでした。
このような人たちは、(対応が誠実とは言えないJRや国の今後の動向に注視しつつ)現状では川勝知事賛成派に回っているようです。
※リニア中央新幹線のうち、静岡県内を通るのは南アルプストンネルのわずか10.7km区間のみ。静岡県内にリニア停車駅はない。
川勝知事が支持される(選挙に勝てる)その他の理由ー対抗馬と支持母体ー
リニア問題で支持を集めている川勝知事ですが、選挙に強いのはそれだけが理由ではありません。
「ライバルがいないのが最大の原因。静岡市に住む父などに話を聞いてみても川勝知事が人気という印象はなくて、他に選択肢がなく消去法といった様子。もちろんファンも一定数いると思いますが。」
twitter.com
「静岡県民ですが、静岡県西部の自動車、バイクメーカー(ホンダ、スズキ、ヤマハなど)とそれに関連する会社、中部のお茶産業と鈴与関連が川勝の支持母体です。 これらの組織票で川勝が再選してしまうんですよ。 我々一般の県民が頑張って対抗馬に投票しても、覆すのは容易ではありません。」
- 有力な対抗馬がいない
- 県内の多くの大企業が川勝知事の支持母体なので組織票を得られる
こういった事情で、川勝知事は4期連続当選を果たしています。
実は川勝知事反対派も増えている静岡県
川勝知事人気が根強い反面で、川勝知事反対派の静岡県民も増えているようです。
SNSには以下のような意見がみられました。
- リニア問題では県民を守ると言いながら、熱海土砂災害の時は初動が遅かった
- リニア工事による環境破壊に反対する一方で、地域自治体から反対されているメガソーラー事業には積極的
- ”「知性の高い方」発言”で第一次産業や静岡のものづくり企業(SUZUKI、YAMAHA、HONDA、BANDAIなど)を敵に回した
川勝知事がリニア工事問題に熱心になればなるほど、その他の静岡県内の問題への川勝知事の対応が疑問視されてきているようですね。
次回の県知事選は、予定では川勝知事任期満了の2025年6月に合わせて行われます。川勝知事支持派・反対派ともに県政への関心が高まるなか、果たしてどのような結果が待ち受けているのでしょうか。
川勝知事が2024年6月で辞任することが確定すれば、静岡県政は新体制へと生まれ変わります。
川勝知事反対派の勢いが増すなかで、静岡県はリニア工事認可の方向へ動くのか、はたまた川勝知事の意思を継ぐ人物が新知事になるのか、次回の静岡知事選挙に注目です。