株式会社SEGAが、スマホゲーム制作会社バンク・オブ・イノベーション(BOI)を提訴しました。
SEGA側は、BOIが開発したアプリゲーム「メメントモリ」と「幻獣契約クリプトラクト」に特許権侵害があったと訴えています。
この記事では、BOIのゲームはどのような点で特許権を侵害していいるのか、また、もしBOIが裁判で負けたらサービス終了はあり得るのかについて、分かりやすく解説します。
SEGAがBOIのゲームを特許侵害で提訴
【ニュース】セガが『メメントモリ』の運営元BOIを提訴し、10億円の損害賠償とゲームアプリの差止を請求。ガチャ関連の特許権を侵害しているとしてhttps://t.co/Hkyf0qjA8j pic.twitter.com/ktH73th9IB
— AUTOMATON(オートマトン) (@AUTOMATONJapan) October 21, 2024
2024年10月21日。株式会社セガがスマートフォン向けゲーム開発・運営会社バンク・オブ・イノベーション(以下、BOI)に対して訴訟を起こしたことが明らかとなりました。
この訴訟は5つの特許権侵害による損害賠償請求訴訟で、SEGA側はBOIの2つのゲーム作品に対して損害賠償と、ゲームプログラム等の差し止めを訴えています。
これに対し、BOI側は特許権侵害の事実はないと主張しています。
【BOI】訴えられたゲームは「メメントモリ」と「幻獣契約クリプトラクト」
訴訟対象となったゲームはBOIが開発した「幻獣契約クリプトラクト」と「メメントモリ」の2作品です。
この2つのゲームに対して、SEGA側は損害賠償として10億円と、その遅延損害金の支払い。さらに現在運営中のメメントモリに対して運営差し止めを求めています。
【分かりやすく解説】BOIゲームの何が特許侵害?訴訟内容は?
当訴訟では、5つの特許権侵害について争われます。
訴訟対象となった5つの特許
日本国特許第5930111号/特許第 6402953号/特許第6891987号/特許第7297361 号/特許第7411307号
それぞれがどのような特許なのか、分かりやすく簡単に解説します。
関連記事:【日本差別?】弥助アサクリ問題でUbisoftが声明!海外の反応「日本人にすべき」
特許第5930111号
以下の処理と、実行プログラムが特許の対象です。
- 複数のキャラクターによって構成されるチームを作り、キャラクターに設定たれたパラメータを用いて対戦ゲームを進行すること
- 少なくとも2つ以上の希少価値が異なるキャラクター軍の中から一部のキャラクターをプレイヤーに獲得させ、獲得したキャラクターをプレイヤーに告知すること
- 手持ちのキャラクターと同じキャラクターを獲得した際に、パラメーターを対戦に有利になるように調整すること
これは、能力値の異なるキャラクターを組み合わせてチームで戦うバトルゲーム方式のことや、レア度の異なるキャラクターを獲得できるガチャのことを指しているものと思われます。
特許第 5930111号の詳細
特許第 6402953号、特許第7411307号
有料アイテム消費によって行える抽選ゲーム(ガチャ)が複数ある場合に、ガチャの蓄積数が所定数に達したことを条件としてレアリティの高いキャラクターを付与するという仕組みや、それを実行するためのプログラムが特許の対象となります。
これはいわゆる「天井」と呼ばれるガチャの仕組みのことです。
特許第 6402953号と特許第7411307号の内容はほぼ同じですが、後者の方は、蓄積数の条件などがより限定的に定められています。
特許第6891987号、特許第7297361 号
これら2つの特許は内容が被るので、まとめて解説します。
プレイヤーが同一種類のコンテンツ群を複数所有している場合、各コンテンツ軍を簡略な操作で合成できるようにする手段やプログラムが特許の対象となります(コンテンツの抽出手段や自動選択手段、一括合成手段など)。
キャラクターやアイテム合成を行う際の、一括合成や合成素材の自動選択などがこれにあたると思われます。
SEGA側の訴訟の目的は?
先述のとおり、SEGAは当訴訟において10億円の損害賠償と、その遅延損害金の支払い、さらにメメントモリの運営差し止めを求めています。
しかし、専門家によると、これらがSEGAの真の訴訟目的ではないようです。
今回の訴訟の本当の目的は、特許ライセンス契約を有利に進めることであると考えられています(参考資料)。
通常であれば交渉で解決するところですが、折り合いがつかなかったため、SEGA側が和解に持ち込むために、あえて訴訟を持ち出したようです。
BOI敗訴なら「メメントモリ」サービス終了?時期はいつ?
「メメントモリ」プレイヤーは、サービス終了になってしまうのか?もしそうならば、時期はいつ頃になるのかというのが一番気になるところではないでしょうか?
もし敗訴となれば10億円以上の損害賠償金を支払い、メメントモリも失うわけですから、BOIにとっては非常に大きな痛手でしょう。
ですが前項で述べた通り、SEGAは当訴訟によってBOIやメメントモリを潰そうと考えているわけではありません。
専門家の見立てでは、訴訟はあくまで和解に持ち込むための手段とのことですから、メメントモリがサービス終了となる可能性は現時点では低いでしょう。
敗訴でもBOIは「メメントモリ」継続を明言
当訴訟で無事和解となれば良いのですが、最後まで和解に至らずBOI敗訴という可能性もあります。
ですがBOIは当訴訟についてのリリースのなかで「たとえ本訴訟がどのような結果になったとしても、当社は、必要な対策を講じること等により、『メメントモリ』のサービスを継続していく方針です。」と明言しています。
これはつまり、仮に敗訴となり特許権侵害に該当する処理技術が使えなくなったとしても、プログラム設計を変更して、メメントモリのサービス提供は続けていく方針ということです。
メメントモリプレイヤーにとっては心強いですね。
まとめ:メメントモリはガチャや合成が問題!サ終は免れそう
SEGAが特許権の侵害を訴えたのは、メメントモリや幻獣契約クリプトラクトのゲームの仕組みとプログラム(主にガチャや合成機能)についてでした。
今回の訴訟の目的は、セガが特許ライセンス契約を有利に進めるための手段であるという見方がされており、無事に和解が成立すれば、メメントモリのサービス終了は回避できるでしょう。
万が一、バンク・オブ・イノベーションが(BOI)敗訴となり、和解不成立となっても、BOIはゲーム設計を見直すなどして、メメントモリを継続していく方針のようです。