文化盗用や、歴史捏造、トレースパクリ疑惑などで批判が止まらない、現在制作中の日本の戦国時代を舞台にしたゲーム『アサシン クリード シャドウズ』。
日本を中心に、ゲームの発売中止を求める署名運動も起こる中、騒動を鎮めるために、制作会社のフランスのUbisoftは、日本語と英語で声明を発表しました。
この声明の概要と、声明に対する海外の反応をご紹介します。
Ubisoftがアサクリ問題に対し釈明
『アサシン クリード シャドウズ』開発チームより、日本コミュニティの皆様へ pic.twitter.com/LYNZUx6P8k
— Ubisoft Japan (@UBISOFT_JAPAN) July 23, 2024
フランスのゲーム会社Ubisoftは、現在制作中の『アサシン クリード シャドウズ』について、アサシンクリードの公式SNSにおいて声明を発表。
文化盗用や、歴史捏造(歴史修正)、トレースパクリ疑惑等(通称、アサクリ問題)に関する釈明を行いました。
Ubisoftの声明をまとめると
- 『アサシンクリードシャドウズ』は歴史フィクションを描くエンタテインメントゲームであり、史実や歴史上の人物を再現する目的で作っていません。
- プロモーション素材の一部に監修が行き届かず、日本の皆さんに懸念(=トレパク批判)を生じさせたことはお詫びします。しかし、ゲーム映像はあくまで開発中のもので今後も改善の努力を重ねます。
- 制作段階で多くの方に協力していただいていますが、責任の一切は開発チームが負っていますので、社内外問わず、協力者への批判は控えてください。
- 弥助が侍だったか否かの議論が起きていることは認識しています。ですが私達は魅力的で没入感あるゲームを作るために、想像表現の自由を活かしてファンタジー要素を取り入れてきました。弥助はその一例です。もう一人の主人公、奈緒江(くノ一)もいます。
- これからも皆さんのフィードバックを大切にしていきます。ご意見お待ちしています。
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Ubisoftの声明に対する海外の反応は?
Ubisoftは日本語の声明とともに、英語でも声明を投稿しています。
こちらも日本語版と内容は大きく異なりません。
この声明を読んだ海外の人たちは何を感じたのでしょうか?
SNSのコメントの中でもいいねが多い(多く共感されている)ものを抜粋、翻訳してご紹介します。
●アサクリを始めると、この画面※が表示されることを、皆すっかり忘れているんじゃないか。アサクリシリーズは常に歴史フィクションであり、文字通り歴史書を表現するものではなかった。
※『このフィクション作品は、歴史上の出来事や人物にインスピレーションを受け、さまざまな信念、性的指向、性自認を持つ多文化チームによって設計、開発、制作されました。』という画面
●最近の人は何にでも腹を立てる。そんなに深刻な問題ではない。
●そもそも、なんで人々はいまだにアサクリを買うのだろう?
●登場人物の名前を変えればいいのに。
ところで、何で架空の人物を創作するために(偏見を持っている)歴史家に相談したのか?
●当然日本人は怒っている。弥助は実在の人物(侍の武器持ち)だったとはいえ、封建時代の日本では黒人は奇妙に思えるよ。多様性を追求するのではなく、普通の日本人キャラクターにこだわるべきだったと思う。日本人のプレイヤーたちが弥助を気に入るとは思えない。
●目を覚ませ。破産しろ。
●日本の歴史は日本人のものだ。日本の侍を君たちが持つべきではない。
●多くの言葉が語られているが、同時に何も語られていないように感じる。
●これまで数千時間とアサクリフランチャイズをプレーしたきたが、このタイトルは買わない。君たちはやり過ぎだ。人種の入れ替わりを止めてくれ。
●DEI※キャラクターは登場させず、少なくとも歴史的に正確で、ところどころファンタジーが散りばめられているものの、脚本に忠実な、日本をベースとしたゲームを作る世界を想像しているよ。
※DEIとは…ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョンの略語。直訳すると多様性、公平性、包括性。つまり、一人ひとりの個性を尊重し、だれもが公平な活躍機会を与えられている状態のこと。
●弥助はDEI採用だったわけだ。ようやく認めてくれてありがとう。
●『ゴースト・オブ・ツシマ』にこのような問題がなかったのは面白いことだね。一つのスタジオが敬意を払った良いゲームを作ろうとしていたのに対し、あなたたちには凡庸なフランチャイズで支持を得ようという別の思惑を感じてしまう。
●弥助を日本人にすべきだった。
●弥助を追い出して、実際の日本人キャラクターをメインにすればいいじゃないか。
●『ゴースト・オブ・ツシマ』をプレイすればいいのさ。
●封建時代の日本を舞台にしたゲームで、日本人の主人公だけを登場させることを想像してみてよ。
●翻訳:「我々は間違っていますが、何も変えたくはありません。それでも私たちのゲームを買ってください。」
●今の時代、黒人がアジア人に暴力を振るうのは良いことではないよ。
●「一体何が起こっているんだ?」と思っているみなさんへ。
基本的に、Ubisoftには、黒人に対して非常に上から目線の白人がいて、あらゆる場所に象徴的な黒人をつくり出すのが自分たちの仕事だと思っています。今回の場合は、16世紀の日本の侍としてでした。
日本人は、Ubisoftが歴史を誤った方法で伝えたことに対して強い怒りの反応を示しました。
この件について、日本のYouTuberが作った面白い動画があります(再生回数190万回)。見てみてください。
●想像してみて。尊敬の文化が深いことで知られている(日本の)民族全体の文化を軽んじていることを…。そしてあなたたちが「日本人を軽んじてなどいない、彼らの方が間違っている」と言っていることを!
あなたたちのゲームの中で、ついに日本が輝くときを迎えたのに、あなたたちは、日本人の文化を日本人ではない人に渡してしまったのよ。
●荒らしに屈しないでください。このゲームは歴史の授業ではなく、現実逃避のためのものなんだ。早くプレイしたいよ。
●Ubisoftの株主です。聞いてください!
この会社にとって非常に重要なタイトルに関してあなた方が下した決定は、正直言って、過失以上のものでした。否定的な議論を引き起こすことは分かっていたはず。今ならあなた方は「議論がないよりは、あったほうがましだ」と言うでしょう。
●Ubisoftには相談できるまともな人間が一人もいないなんて、わけわかんないよ。その場にいた誰もが「おい、当たり前のことを言うつもりはないけど、日本を舞台にしたゲームの主人公をアフリカ人男性にしたら、ちょっと変じゃないか?」てなことを言わなかったのか?
あるいは、企業が人種問題について議論するような感じのことはないわけ?
●この人たちが気にしているのは、ウォーク※/DEIのプロパガンダを強要することだけだ。このゲームが大失敗するのを見るのはうれしいよ。
※woke(目覚める・悟るの意味)。今起きている社会問題に対して深い理解や認識を持っている状態や人のこと。
●リプやリツイートの中には「これは問題ではないし、このような声明は必要ない」と主張する不心得者がいまだにいる。
アサクリが歴史フィクションなんてことは誰もが知っている。だからこのような声明が絶対必要なんだ。
この数カ月間、詐欺師たちはアフリカ人に対する人種差別を叫び、日本文化の誤った表現や軽視を問題視する全ての人を、あらゆる名前で呼んできた。多くの日本人たちが「本物(の日本人)じゃない」「Google翻訳を使った右翼おじさん」などと非難されてきたんだ。
これは、日本のXで現在大きな問題になっているし、これまでだってそうだった。だが、詐欺師たちは未だに現実を否定し、日本人を差別している(私が見た限りでは、人種差別的な暴言のほとんどがここから発生している)。
事態を落ち着かせるためにも、Ubisoftのアサクリチームからのこのような声明は必要だったが、詐欺師たちはまだこれを続けることに固執している。狂ってるよ。
このように、多くの共感(いいね)を呼んだコメントの内容は、怒りや失望を感じているものがほとんどでした。世界中のたくさんの人が、日本人と同じような感覚で違和感を抱いていると分かり、少し安心しました。
ですが、このアサクリ問題が引き金となり、トーマス・ロックリー日大准教授が提唱する”黒人奴隷は日本が起源説”が、悪用されないか不安です。
ゲームという枠を超えて、今後長く尾を引くような政治問題に発展しないことを願います。
参考までに(ロックリー准教授の著書)↓