岸田総理は2024年4月10日にホワイトハウスで行われた日米首脳公式晩餐会でスピーチを行いました。
そのスピーチにはジョークがふんだんに盛り込まれており、会場は大変盛り上がった模様です。
そこで、岸田総理のジョークスピーチを聞いたアメリカ人の反応をご紹介したいと思います。
岸田総理、日米首脳晩餐会でスタートレックを引用したジョークスピーチ
2024年4月10日夜(日本時間11日午前)、国賓としてアメリカを訪問していた岸田文雄総理は、ホワイトハウスで行われた日米首脳公式晩餐会に参加。
バイデン大統領とともに、乾杯のスピーチを行いました。
スピーチは全て英語で行われ、ジョークやアメリカの人気SFドラマ「スタートレック」のセリフを引用したユーモアあふれる内容でした。
いかがスピーチ全文(和訳)です。
大統領、バイデン博士(学者であるジル・バイデン夫人)、ご来賓の皆様、このような素晴らしい夕食会を主催していただいたこと、そして温かい歓迎とおもてなしに心から感謝の意を表したいと思います。
私がここに来る前に、私のスタッフは、私のスピーチが短すぎると文句を言った人は誰もいなかったと私に言いました。(会場笑)これはおそらく良いアドバイスです。
したがって、私のスピーチは短くしておきます。(会場笑) 何よりもまず、正直に言うと、これほど多くの日米の著名なゲストを前に、息を呑み、言葉を失いました。
私の妻の裕子も、言葉を失うくらいで、主賓が誰なのか見分けるのは難しいと私に言いました(会場笑)。それで大統領の隣の席に案内されたときは安心しました。(会場爆笑)
昨年、バイデン大統領とバイデン博士は、G7首脳会議に出席するため、私の故郷である広島を訪れました。 米国への日本人移民の中で最も多くの人が広島から来たことはあまり知られていません。
多くの広島の人が、新たな世界、より良い未来、より高みを求めてアメリカへ向かいました。 大統領、故ダニエル・イノウエ上院議員が大統領の良き友人だったことは知っています。彼の母親も広島出身でした。
日米両国の長い歴史を振り返ると、先人たちは両国を行き来しながら、ビジネス、学術、芸術、スポーツなどのさまざまな分野で道を切り開いてきました。
「太平洋は日本と米国を隔てているわけではありません。むしろ、それは私たちを団結させます」。これは、約60年前、ホワイトハウスで開かれた国賓昼食会で、ケネディ大統領が同じく広島出身の池田首相に贈った言葉です。
私はこのセリフが気に入りました。私はこの言葉を何度も使用したため、スタッフはこのフレーズがスピーチ原稿に出てくるたびに、それを削除しようとしました。(会場笑)
しかし、私たちの関係をこれほど目に見える形で表現したものはなく、今日ほどこの言葉に意味があることはありません。日本と米国はこれまで以上に団結しています。(会場拍手)
太平洋が日本と米国を結びつけ、これほど近づけたのは、私たちの先人たちの開拓者精神と、私たち全員が共通に持つフロンティア精神のおかげだと私は信じています。フロンティアに立つ彼らの成功は、個人の努力だけではなく、チームとしての総合的な努力の結果でもあります。
これは国家間でも当てはまります。私たちの共同の取り組みは多様であり、私たちの明るい未来と世界の平和と安定にとって不可欠です。
私たちは今、揺るぎない日米関係をさらに高め、次世代に引き継いでいくための新たな境地に踏み出す歴史の転換点に立っています。
最後に皆さんご存知のスタートレック(米国のSFドラマ)のセリフ「誰も行ったことのないところへ果敢に行く」で締めくくりたいと思います。(会場笑いと拍手)
ちなみに、USSエンタープライズ(スタートレックに登場する宇宙艦)の操舵手ヒカル・スールーを演じたジョージ・タケイも広島にルーツを持っています。(会場笑いと拍手)
大統領、バイデン博士、ご来賓の皆様、そして紳士淑女の皆様、私たちのフロンティアへの航海に乾杯したいと思います。
日米関係のこの言葉、Boldly Go!(人類未到の地へ果敢に旅立とう!)。乾杯!
https://news.yahoo.co.jp/articles/306efd29437bb24815f0fa3534cc1e3a75516af4
記事にもあるように、岸田総理はジョーク交じりのスピーチで会場を盛り上げたようです。
岸田総理のスピーチのあと、バイデン大統領も満面の笑みで「God job!」とご満悦の様子でした。
岸田総理のスピーチにアメリカ人の反応は?
岸田総理のユーモア溢れるスピーチはアメリカメディアにも報じられました。
ここでは記事を読んだアメリカ人の反応をご紹介します。
(以下、Xのコメントをピックアップして和訳しています)
「これはニュースなのか?」
「とても賑やかで楽しいイベントになりそうだ!リーダーたちが、ユーモアや大衆文化からの引用をフォーマルな場面に取り入れるのを見るのは、いつも新鮮だよ。」
「かつてはライバル、今は親友」
「忘れてはいけないのは、キシダが以下に文化的に敏感で洗練されているかを示すために英語でスピーチしたという点だ。
外国人が自国の言語を話すのを聞いていつも興奮しているアメリカ人ゲストたちにとって、キシダは本当に気に入られたに違いない。」
「タイミング良く『誰も行ったことのない場所に果敢に行く』という言葉を投げかけるリーダーに感銘を受けない人はいないんじゃないだろうか。」
「この部屋のなかに、少なくとも一人は知恵のある人がいるんだな。」
このように、岸田総理の乾杯スピーチは、アメリカ人にポジティブな印象を与えたようでした。
英語で話していることや、アメリカの文化を取り入れていることなど、アメリカへのリスペクトが感じられるスピーチ内容だったのではないでしょうか。
真面目すぎず程よく砕けた感じもまた、晩餐会という場にピッタリだったと思います。
そして岸田総理の話し方や間のとり方、目線の配り方、表情などにも余裕があり、その点もアメリカ人には印象良く映ったのでは?と感じました。
岸田総理については、国内でいろいろ騒がれていますが、今回のスピーチに関しては、やはり外務大臣として長年第一線で活躍されていただけのことはあるな、と思わせてくれる素晴らしいスピーチだったのではないでしょうか。