電動キックボードシェアリングでおなじみのLuupが、カゴ付き特定小型原付「電動シートボード」を発表しました。
導入は2024年冬以降を予定しています。
同車両には座席と荷物カゴが付いており、原動機付自転車(通称:原付バイク、原チャリ)のように座ったまま乗車できます。
しかも運転免許不要とお手軽なのですが、原付となにが違うのでしょうか?両者を比較してみました。
LUUP電動シードボードとは?
LUUP、「電動シートボード」を今冬投入 座って乗車・カゴ付き新型車両 https://t.co/D3OtLDdory pic.twitter.com/MN7aGrCTgv
— Impress Watch (@impress_watch) June 25, 2024
Luupは電動キックボードに続く新たな移動手段「電動シートボード」を発表しました。
電動シートボードは、完全電動の”特定小型原動機付自転車”で、最高速度は20km/h、16歳以上であれば免許不要で乗ることができます。
座席が付いており、ペダルを漕ぐ必要もないため、足腰の弱い人も長時間の走行が可能。後部のカゴに荷物を積むことができるので、買い物や通勤など幅広いシーンで重宝されそうです。
電動シートボードは、電動アシスト自転車や電動キックボードのような手軽さと、原付のような快適性を併せ持つ次世代の乗り物だといえるでしょう。
電動シートボードと原付バイクの違いを比較
電動シートボードの乗車感は、原付バイクまたは原チャリと呼ばれる原付一種と似ていますが、車両区分は電動キックボードなどと同じ「特定小型原動機付自転車」です。
では電動シートボードと原付バイクはなにが違うのでしょうか?
両者を比較してみました。
電動シートボード | 原付(原付一種) | |
区分 | 特定小型原動機付自転車 | 一般原動機付自転車 |
最高速度 | 20km/h以下 | 30km/h |
定格出力(または排気量) | 0.6kw以下 | 総排気量50cc 電動の場合は0.6kw以下 |
長さ | 1.9m以下 | - |
幅 | 0.6m以下 | - |
高さ | - | - |
運転免許 | 16歳以上であれば不要 | 原動機付自転車免許 または各種運転免許(小型特殊免許除く) |
歩道での走行 | 6km/hモード走行時のみ可能 | 不可 |
ヘルメット | 努力義務 | 必要 |
バックミラー | 不要 | 必要 |
最高速度表示灯 | 20km/h走行時:常時点灯 6km/h走行時:常時点滅 | なし |
自賠責保険 | 利用料に含まれる | 加入義務 |
両者の大きな違いは走行速度と車両サイズ、そして免許が必要か否かという点です。また、電動シートボードは、6km/hモード走行時には歩道を走ることもできます。
今後は原付一種の基準が変わる
今後、原付一種の規定が変わるようです。
現在は排気量50cc以下の二輪車が原付一種と規定されていますが、今後は総排気量125cc以下・エンジン最高出力4kW(5.4ps)以下の二輪車が新原付基準となります。
その背景には、50cc原付のニーズ低下(ホンダは2025年5月に50cc以下の生産終了)や、排ガス規制への対応などの事情があり、2025年11月より適用される新排ガス規制に合わせて、原付も新基準へと移行すると予想されています。
環境負荷の少ない特定小型原動機付自転車の普及も、原付の新基準制定の一因ではないか、という意見もあります。
免許不要・ヘルメットなしでも大丈夫?電動シードボードの安全性
原付バイクと異なり、免許不要でもOK、ヘルメット着用の義務なし(努力義務)の電動シードボードにたいして、安全を不安視する声もあります。
しかし、電動シードボードの最高速度は20km/hで原付よりも低速です。このスピードはママチャリ(軽快車)で例えると、ちょっと頑張って漕いでいる程度ですから、速度的には自転車と大差ないと考えられます。
ですがやはり不安なのは、運転免許が要らないという点ですよね。
警視庁のデータによると特定小型原動付自転車の違反件数はこの1年で、10倍にも増加しています(二人乗りやイヤホン使用など)。
また、日本に先立って電動キックボードレンタルを行っていたフランスのパリでは、事故が多発したことで住民投票が行われ、89%の住民が反対票を投じた結果、2023年4月にレンタルサービスが廃止されました。
自分が車を運転するようになって実感したのは、車やバイクの運転経験がある人とない人では、運転中の視野や、周囲の車両・歩行者への注意意識が全く異なるということです。
今後、特定小型原動付自転車に乗る免許未取得者の人は増えていくと思われますが、「免許がなくても気軽に乗れる」ではなく「免許がないからこそ慎重に」という意識で乗車してくれることを願います。