Mrs.GREEN APPLEが2024年6月12日に発売した新曲「コロンブス」のMVの内容が差別的ではないかと大炎上しました。
翌日13日には非公開となってしまったMVですが、一体何がどのように問題だったのでしょうか?
MVの内容と、炎上してしまった理由を解説します。
Mrs.GREEN APPLE新曲「コロンブス」MV公開から公開停止までの流れ
Mrs.GREEN APPLEは2024年6月12日に新曲「コロンブス」の配信を開始。それと同時にMVを公開しました。
この曲はコカ・コーラCoke STUDIOキャンペーンソングとして書き下ろされた楽曲で、発売初日からiTunesソングランキング3位になるなど注目されています。
楽曲リリースと同時に公開されたMVに関しても、ファンからは「元気が出る」「かわいい」といった「何回も見たくなる」と好意的なコメントが寄せられていました。
しかし、そのMVの内容が差別的ではないかという声が相次ぎ、Yahooニュース等のメディアにも取り上げられるようになり、MVは翌日13日に公開停止となりました。
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以下はMrs.GREEN APPLEオフィシャルサイトに掲載された謝罪文です。
Mrs.GREEN APPLE「コロンブス」MVの内容は?
Mrs.GREEN APPLE「コロンブス」MVの内容は、メンバー3人がそれぞれ歴史上の偉人に扮し、「もしも生きた時代の異なる偉人たちが一緒に旅をしたら?」をテーマに、未開の地を開拓するという空想の物語を描いたものでした。
登場人物は大森元貴さん演じるコロンブス、若井滉斗演じるナポレオン、藤澤涼架さん演じるベートーヴェン。3人は本楽曲の歌詞に登場する500万年前の類人猿達と出会い交流を深めます。その中には、類人猿に人力車を引かせたり、音楽や乗馬、天文学といった現代的な文明を教えるというシーンも含まれていました。
ミセス「コロンブス」のMVは何が原因で炎上?差別と言われた理由とは?
一見コミカルで楽しい雰囲気の「コロンブス」MVですが、何が問題だったのでしょうか?
それは西洋中心主義や植民地支配を連想させる内容だったということです。
問題点①コロンブスは奴隷制度の生みの親?!
まず、楽曲タイトルにもなっているクリストファー・コロンブスという人物についてですが、「開拓者」「冒険家」という”英雄的”なイメージを持つ人も少なくないのではないでしょうか?実際そのように学校で習ったという人もいるでしょうし、Mrs.GREEN APPLEのメンバーもそういったコロンブスのポジティブなイメージを楽曲に反映させています。
たしかに西欧諸国からみれば、コロンブスは新大陸を発見した偉人ではありますが、その背景には、先住民に対する虐殺や性的搾取や強奪、アメリカ大陸への病気の持ち込みといった多くの犠牲が存在したことも明らかになっています。
そしてヨーロッパ人の植民地となったアメリカ大陸では、先住民のインディアンやアフリカ大陸から連れてこられた多くの黒人たちを強制労働させる奴隷貿易が始まりました。
このことから、現代においてコロンブスは英雄ではなく、西洋中心主義と奴隷制度の象徴という見方が強まっています。
人種差別に抗議する「Black Lives Matter」運動が世界的ムーブメントになったことが記憶に新しいですが、その根深い問題の根底にはコロンブスの存在があると考えれば、コロンブスというテーマは慎重に扱うべきだったのかもしれません。
問題点②猿は人種差別の象徴
猿は人種差別の象徴であると言えます。
猿は動物、つまり人間より下の存在という揶揄です。
例えば、ヨーロッパのプロサッカーの試合中に、黒人選手に対して観客が猿の鳴き真似をしたり、バナナを投げつけたりという行為を行い、人種差別問題に発展することが度々あります。
また、「YELLOW MONKEY(黄色い猿)」はアジア人に対する蔑称として知られれています。
つまりMVの人力車を引くシーンのように、猿が人間に使われているという描写は人種差別的だと捉えられても仕方ありません。
MVの猿は500万年前の類人猿だから人種差別とは無関係だと擁護する意見もあるかと思います。しかし、日常的に人種の壁を感じる環境で生活している人からすれば、「悪意はない」「意図していない」といくら言われても言い訳としか受け取れないかもしれません。
コカ・コーラもユニバーサルミュージックもなぜ止めなかった?
Mrs.GREEN APPLE「コロンブス」のMVはどんなメッセージが込められているにせよ、内容的には大きな問題があると言えるでしょう。
個人的に、過度なポリコレ反対派ではありますが、このMVは「人によってはそう見える」というレベルを超えて「マズイ」という印象です。
そこで気になるのが、なぜ誰も止めなかったのか?ということです。
Mrs.GREEN APPLEとタイアップしたコカ・コーラも、レーベルのユニバーサルミュージックも世界的な企業です。標準的な国際感覚が備わっているのであればMVを公開する前のチェック段階で誰かしら問題視しそうなものですが。
単なる無知だったのか、それとも捻りに捻った白人至上主義への皮肉だったのかは分かりかねますが、いずれにせよ音楽の国境がなくなっている昨今、リスクある発信には注意を払うべきではないでしょうか。